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ひみつNo.36464

登録 2018年4月25日

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2018/7/23

彼女を守ると、総帝は己の心に誓

彼女を守ると、総帝は己の心に誓ったのだ。この上の階には魔王がいるはずだ。まだ死ぬわけにはいかない。しかし、この命を散らす覚悟を持たなければ、奴は倒せまい。 膨大な魔力を手頭髮保養入れたシーヤは、高笑いを響かせた。総帝ですら圧力を感じるこの魔力に、隊員や兵士たちを守るために、強力な結界を部屋に張り巡らせる。 びりびりと伝わってくる振動に、顔をしかめた。魔法陣を使用し、さらには魔法強化魔法も発動させるが、それでも今にも破られてしまいそうな魔力量。 正直にいってしまえば、結界を保たせているだけできつかった。額から垂れた汗が、目尻から目に入り込んで滲みる。髪の毛が額にはりついて気持ち悪い。 きつく握りしめた掌に、ぬるりとした感触を感じた。──それは、汗のせいなのか、はたまた爪で掌を傷つけて血が滲んできたからか。 ──敵うかなどわからない。死ぬかもしれない。 それでも総帝は、戦わなければならない。「──行きますよ」 総帝は小さくセネルに声をかけ、血に染め上げられた白かったはずの床を、強く蹴った。 白銀に光る刀と己の身体。全てを塗りつぶしてしまいそうなほどに濃い白銀の魔力を、刀に流し、身体に巡らせる。 ──“白銀の刀使い”。 自らの育ての親がつけてくれた二つ名に恥じぬように。.

2018/7/23

彼女を守ると、総帝は己の心に誓

彼女を守ると、総帝は己の心に誓ったのだ。この上の階には魔王がいるはずだ。まだ死ぬわけにはいかない。しかし、この命を散らす覚悟を持たなければ、奴は倒せまい。 膨大な魔力を手頭髮保養入れたシーヤは、高笑いを響かせた。総帝ですら圧力を感じるこの魔力に、隊員や兵士たちを守るために、強力な結界を部屋に張り巡らせる。 びりびりと伝わってくる振動に、顔をしかめた。魔法陣を使用し、さらには魔法強化魔法も発動させるが、それでも今にも破られてしまいそうな魔力量。 正直にいってしまえば、結界を保たせているだけできつかった。額から垂れた汗が、目尻から目に入り込んで滲みる。髪の毛が額にはりついて気持ち悪い。 きつく握りしめた掌に、ぬるりとした感触を感じた。──それは、汗のせいなのか、はたまた爪で掌を傷つけて血が滲んできたからか。 ──敵うかなどわからない。死ぬかもしれない。 それでも総帝は、戦わなければならない。「──行きますよ」 総帝は小さくセネルに声をかけ、血に染め上げられた白かったはずの床を、強く蹴った。 白銀に光る刀と己の身体。全てを塗りつぶしてしまいそうなほどに濃い白銀の魔力を、刀に流し、身体に巡らせる。 ──“白銀の刀使い”。 自らの育ての親がつけてくれた二つ名に恥じぬように。.

2018/7/21

 「行きますよ!」 ─

「行きますよ!」 ──返事など期待していなかった。 しかし、背後からいくつもの力強い声が返ってきて、総帝は思わず口元を弛める。 頼れる仲間たち。彼らHKUE DSE共に戦うことができることを、誇りに思う。 セネルの背にしがみつけば、彼はますます速さをあげた。彼の背にのせてもらったのは、体力温存のためである。今後、どのような敵と遭遇するかわからないのだ。走ることは走ることが得意な彼に任せた方がいい。 彼の背で、総帝は刀を振るう。幼少の頃、彼の背に乗せられて、よく、山を、森を、駆けたものだ。無論右手にこの刀を携えて、生きるために動物や魔物を狩ながら。 武器を両手に脚のみで彼にしがみつきながらであっても、平地ならば容易い。森を駆け抜けるときとは違う。障害物が少ない故に、彼もあまり跳び跳ねたりする必要がなく、バランスがとりやすいのだ。 総帝が身体の重心を変えるだけで、セネルはその意図を読み取り、即座に方向転換をする。 絆とすら呼ぶことができるであろう強い心の結び付きがあるからこそ、できるわざであろう。 総帝──サキカは中央の国王陛下に使える騎士と呼べる立場も持っていながらも、馬に乗るよりセネルに乗った方が速いのだ。馬とプラチナウルフの能力差を鑑みても。.

2018/7/17

 「流桜(るざくら)流……」

「流桜(るざくら)流……」 ジパング語で呟いたのは、サキカでもなければ静でもない。サキカたちが学園の依頼先で捨てられていたところを見つけ、ギルドに連れてきて零番隊隊員とHKUE 傳銷った巧の、幼い声である。「滅びし流派か……。なぜそんなものを知っているのか気になるが、まあ今は置いておこう」 流桜流──それがサキカが使う二刀流を主体とした流派の名前である。しかしながら、サキカはそれに帰山流と呼ばれる一刀流流派と東の国の伝統の舞である刀の舞を合わせた流派を使っている。つまり、純粋な流桜流ではないのだ。 ただし、流桜流をもとにして作り上げた流派であるために、流桜流にない剣術がいくつか混じっているが、純粋な流桜流剣術のみで戦えと言われたら可能である。 流桜流が滅びし流派と呼ばれているのは、数十年前、流桜流発祥の村が魔物の大群によって潰されたからである。正当後継者も、流桜流を知る者も、当然、それ以外の村人も、僻地の村であるが故に滅多に外界へと出てこないのだ。付け加え、文字の読み書きができる者も少ないために、書物としてもほとんど残っていない。 魔物の大群に村が襲われた時、戦える者は村を守るためにその命を散らし、戦える力を持たない者のみが村から命からがら逃げ出した。 サキカの流桜流の師である年をとった男性は、当時怪我を負っており、足手まといになるからと女子供と共に逃げさせられたらしい。 彼は正当後継者ではなかったが、その弟子の一人であったらしく、流桜流の全ての剣術を教えてくれた。彼が年老いて刀を握れなくなった今、流桜流を使うのは、おそらくこの世でサキカ一人である。.

2018/6/16

 「木の枝の上を走る許可をください

「木の枝の上を走る許可をください」「き、木の枝って……」口調を取り繕うほどの余裕は、サキカにはなかった。女性を、それも自分が恋慕の情を抱いている同い年の少女を背治療 脫髮ったことなど初めてなのだ。──耳元で聞こえる彼女の声が心地よい。気をそらそうとすればするほど、どうでもよいことに思考が向いてしまう。「──前にユリに禁止されましたが、森の中の移動はそれが一番楽でして」東の国へ修学旅行で行ったとき、あのしつこい男から逃れるために屋根の上を走ったのだが、危ないからとユリアスに禁止されてしまった。しかし、人生の大半を森の中で過ごしてきたサキカにとって、木の枝から枝へと跳ぶように駆けていくという移動方法は、木の幹や根、それから動物やら魔物やらを避けながら走るということよりも、余程楽しくて楽な移動方法なのだ。「お、落ちないんですかそれっ」「落ちたことはありませんよ」走りながら交わされる会話。「──……本当ですね!?」「はい」本当かどうかと念入りに訪ねてくるユリアスに、サキカは笑みをこぼした。緊張が緩み、速まっていた鼓動が落ち着く。「……だめ、ですか?」おずおずと遠慮がちに問うと、ユリアスは折れてくれた。「……わかりました。──絶対、ぜぇったいに足を踏み外したりしないでくださいねっ!?」もし今、彼女の顔が見れたとしたら、多分ユリアスは眉間に少ししわを寄せて、少しだけ唇を尖らせているはずだ。(……見なくても想像がつくとは……、僕は相当彼女が好きなのですね)──数日後、自分は本当に彼女たちから離れることができるのだろうか、と不安になってしまった。.